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脱ハンコ?株主総会議事録の押印の要否

2020年9月に行政手続きの約99%で押印の廃止が決定され、各自治体や民間においても脱ハンコが進んでいる中、今回は司法書士の仕事の1つでもある株主総会議事録の作成における押印について記述いたします。現在会社を興している方もこれから会社を立ち上げる方も是非ご一読ください。

目次

  1. そもそも株主総会議事録とは
  2. 株主総会議事録に押印が必要となるケース
  3. 誰がどの印鑑で押印をするのか
  4. まとめ

そもそも株主総会議事録とは

株主総会は株式会社の所有者である株主の総会であり、株式会社の重要事項は株主総会が決定します。

株主総会議事録とはその名の通り、開催した株主総会の会議内容や決定事項などを記した議事録となっています。

この株主総会議事録は「会社法318条」によって作成と10年間の備え置きが義務付けられています。つまり株式会社が重要な決定を行うときは必ずと言っていいほど株主総会議事録の作成をする必要があります。

そしてこの株式総会議事録は我々司法書士にとっては登記申請を行う際にとても重要な書類となります。

株主総会を開催し、株式会社にとって重要な変更が起こった際には登記申請が必要となる場合があります。その際に法務局から提出が求められることが多いのがこの株主総会議事録です。

例を挙げると、役員の変更、会社定款の変更、資本金の額の増減、合併や事業譲渡などこの他にも様々あります。

株主総会議事録に押印が必要となるケース

それでは、実際に株主総会議事録に押印は必要なのでしょうか。

結論から申し上げますと、原則押印は必要ありません。

会社法では株主総会議事録について押印を特段求めていません。

なんだ、じゃあ何も悩む必要はないじゃないか。と思われるかもしれませんがそれだけでは終わらないので今回のブログがアップロードされております。

まず、会社の株主総会の押印義務については会社法上で求められてはいなくても、会社の定款によって定められている場合があります。

会社の定款は会社のルールを定めた根幹部分のためそのルールを破るわけにはいきません。

会社法の施行前は株主総会議事録への押印が求められていたこともあり、会社の定款には「株主総会議事録に記名・押印をする」と定めている会社も少なくないです。

そのためまずは会社の定款の見直しから必要であるという可能性もあります。

そして次に取締役会を置かない会社において株主総会にて代表取締役を選任・選定する場合に押印が必要となります。

取締役会がある会社では代表取締役は取締役会にて選定しますが、そうでない会社の場合は株主総会の決議によって代表者を決めることができます。この場合の株主総会議事録には、押印が必要となります。

またこの2つ以外の場合でも議事録としての正当性や真実性を示すために出席取締役の記名押印をして議事録を作成する場合も多いとされています。

誰がどの印鑑で押印するのか

押印の要否は分かりましたが、それでは一体誰がどのような印鑑を押せばよいのでしょうか。

定款で押印することが定められている場合は、定款で誰が押印すべき者として規定されているかによることになります。この時の印鑑の種類については認印でも良いとされていますが、

会社の印鑑を届け出た代表取締役は会社の届出印(いわゆる会社実印)を押印するケースが多いように思います。

また、取締役会がない会社で代表取締役を選定する場合は、会社の印鑑を届け出た代表取締役は会社の届出印を、出席取締役については実印による押印が必要とされています。

この場合、出席取締役全員の印鑑証明書も登記申請に必要となり、各取締役に取得してもらうのもかなりの手間となります。

ただし、変更前の代表取締役が会社の届出印を押印した際には出席取締役の実印の押印は必要がありません。(商業登記規則第61条第6項)

つまり、会社の届出印の押印があれば出席取締役の実印と印鑑証明書の必要はなくなることになります。

ですがこれで全てが解決する訳でもありません。株主総会の内容によってはやはり出席取締役の実印と印鑑証明が必要になるケースも存在します。

細かいケースについてはご興味がある方は会社法や商業登記規則などを覗いてみてください。実際に議事録作成が必要な場合にはもちろん相談も承っております。

まとめ

結果、株主総会議事録には原則、押印は必要ではありません。

ただし、議事録の真実性を持たせるために押印する場合が多く、登記手続きの際には必要な押印がなければ登記申請が受け付けてもらえない場合もある。ということになります。

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