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初めての遺言 ~ありったけの思いを込めて~

遺言…まだ20代の私には遠い話のようにも思えるけれども、人間いつ何が起こるかわからないから、書いておいたほうがいいのかな…。そういえば、私の父は50代で書いていました。母が書くよう頼んだらしいですが、頼むほうも頼まれるほうも少し複雑な気持ちですね。

こんにちは、長洲です。

あるお客様(Aさんとしましょう)から、遺言を書きたい、というご依頼をいただき、先生に同行した時の話です。依頼者は、自身の兄弟には相続をされたくない、という強い思いのある方でした。つまり、例えば自分より先に夫(妻)も子供も両親も亡くなっていた時にのみ、兄弟へ相続されることになるので、可能性としては低いかもしれません。しかし、ゼロとは言えません。

今回Aさんは、自身の兄弟には相続させたくない、ということでした。その可能性をゼロにする方法が1つだけあります。それが、遺言です。ただ、遺言も法的に効果を生じさせるには、以下の要件が必須です。

  1. 全文、日付、氏名を、遺言者が自分で書くこと(手書き)
  2. 押印のあること(認印可)

…これだけです。チラシの裏に書いたって、封筒に入れてなくたって、認印だっていいんです。私もチラシの裏にでも書いて家のどこかに忍び込ませておこうかな…

とはいえ、もしも裁判になった場合に、あまりに簡易的な形式の遺言書であると、裁判官の心証として、(本当に本物なのか?)に疑いが生じる可能性もなきにしもあらず。

だから、Aさんには、チラシではなく、きれいな便箋に書いていただき、実印で捺印してもらいました。そして、「遺言書」と書かれた封筒に入れて、実印で封印もなさいました。典型的な、ドラマで見るのと同じ形ですね。

しかし本当は法律上はここまではいらないのです。さらに、兄弟に相続させない旨を書くだけでは、遺言としては不十分で、遺言執行者の指定(民法1003条)も行っていただきました。こうすることで、遺言の執行に関しては、遺言執行者のみが権利義務を有することになります(民法1012条1項)。よって、完全に兄弟の介入の余地はなくなりました。

このような形で、この案件は終着しました。

弊事務所では、このように、遺言の相談や、相続による不動産登記手続きも承っております。お気軽にご相談ください。

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