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商業登記担当のメモ帳「会社の解散」

 会社の活動を終了し、閉じる場合には「解散登記」という重要な手続きが必要です。
この記事では、株式会社を例に、「登記手続」にフォーカスして会社の解散の基本的な流れや注意点などについて解説いたします。(文責:竹下)

目次

  1. 会社の「解散」とは?
  2. 解散登記の流れ
  3. 清算結了登記の流れ
  4. まとめ

1.会社の「解散」とは?

 まず、「解散」とは会社が事業活動を終了し、清算の手続きに入ることを意味します。解散した時点で会社の法人格が直ちに消滅するわけではなく、以後は「清算会社」として債権債務の整理や残余財産の分配などを行います。

なお、会社法(会社法第471条)では、以下のような場合に会社は解散するとされています。

  • ●定款で定めた存続期間の満了
  • ●定款で定めた解散の事由の発生
  • ●株主総会による解散決議
  • ●合併による消滅
  • ●破産手続開始の決定
  • ●裁判所の解散命令 

 この記事では最も一般的な「株主総会による解散決議」を行うことを前提に解説します。

2.解散登記の流れ

 会社を解散する場合、まず株主総会を開催し、「解散」と「清算人の選任」に関する決議を行います。

①株主総会の開催・議事録作成

 会社の解散は、原則として株主総会の特別決議(出席株主の議決権の3分の2以上)により決定されます(会社法第309条第2項)。
同時に清算人も選任する必要があります。一般的には取締役、代表取締役がそのまま清算人、代表清算人となるケースが多いですが、別の者を選任することも可能です。

② 解散および清算人就任の登記

 株主総会決議の日から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局に対して「解散登記」と「清算人就任登記」を申請します。この登記を行うことで会社は「清算会社」となります。清算会社とは通常の営業活動を停止し、会社の資産や負債を整理して、最終的に法人格を消滅させるための手続きを行う会社のことです。

3.清算結了登記の流れ

 会社が解散をしたら清算人は会社の清算に必要な活動を行います。

①財産目録と貸借対照表の作成

 清算人は就任後、会社の財産を調査し、財産目録及び貸借対照表を作成します。
そして、作成した財産目録、貸借対照表は、清算会社における株主総会において承認を得る必要があります。

②債権者保護手続き

「債権者保護手続き」とは会社の債権者に対して会社が解散することを知らせ、異議を述べる機会を与える手続きの事です。

 清算人は、「官報公告」を行う必要があります。会社債権者に対して解散することを知らせ、2ヶ月間以上の決められた期間内に申し出るよう求めます。
また、会社が把握している債権者に対しては「個別に催告」をします。


③清算活動

 清算人は、売掛金や未収入金などの会社の債権を回収し、買掛金や借入金など会社の債務を支払います。
また、固定資産など資産価値のあるものは現金化をします。
そして、すべての資産・負債を清算した後に残る残余財産を株主に分配します。

④株主総会での決算報告書の承認

 清算業務が終了したら決算報告書を作成し、株主総会でその承認を受けます。

⑤清算結了の登記

 清算結了登記とは、清算会社が清算業務を完了したことを登記によって法的に確定させる手続きです。
この登記が完了すると、会社の法人格は消滅し、会社の商業登記簿が閉鎖されます。

 ここで注意が必要なのは、清算結了登記を行うには債権者保護手続きの公告から2か月以上経過している事が必要となる点です。

4.まとめ

 以上のような手続きを取ることで、会社を解散し清算結了まで終了したいうことができます。また、最後に税務署、官公庁など各種機関へ解散の届出をする必要があります。

各手続につき不備があると清算結了登記まで行ったにも関わらず再度手続きをやりなす必要がある場合もあります。当事務所でも解散から清算結了までの登記手続きにつきご依頼を承っておりますのでご相談ください。

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