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商業登記担当のメモ帳「会社実印について」

 これから法人の設立をお考えの方、現在会社を経営されている方へ向けて実務上での事例を交えてご紹介したいと思います。脱ハンコ社会になりつつある日本ですが、まだまだ押印が求められる手続きが多いのが現状です。特に商業登記においても押印については書類の真実性や手続き上において非常に重要です。商業登記では必ず押印いただく会社の印鑑についていくつかご説明します。 (文責:竹下)

目次

  1. 会社の印鑑とは?
  2. 代表者印(会社実印・法人実印)
  3. 銀行印(法人銀行印)
  4. 会社角印(会社印、角印)
  5. 商業登記における会社の印鑑
  6. 実際にあった事例
  7. まとめ

1.会社の印鑑とは?

  まず、会社の印鑑とは何か、というところから始めたいと思います。会社を設立する際にいくつか会社の印鑑を作成することが多いかと思います。会社実印・銀行印・認印の3つを作成するのが最も多いパターンです。

 それぞれ用途に分けて使い分けるのですが、会社を設立したばかりの方、会社を設立してから時が経ち、使っていない印鑑があるという方もいらっしゃるかと思います。

 まずはその種類からご紹介いたします。

2.代表者印(会社実印・法人実印)

 代表者印は、会社設立の際に法務局へと登録する法人の印鑑です。法人の印鑑登録証明書にある印影のものがこれにあたります。

 個人の実印と同様に、印鑑登録をした印鑑は法人の実印としての法的な効力を持ちます。役所など公的機関へ提出する書類や契約に関わる書類など、法人として重要な書類に押印する際には代表者印を用いるのが一般的です。会社実印や法人実印、丸印と呼ばれることもあります。

 こちらの印鑑は会社設立の際に法務局に法人の実印として届け出ているものになります。法人と代表取締役の名前で法務局へ登録を届け出ます。

 商業登記の手続きの際にはこちらの印鑑での押印が必要となります。

3.銀行印(法人銀行印)

 法人の銀行口座を開設する際に、金融機関へ届け出る印鑑です。手形や小切手のように、お金に関するやり取りの際に使用します。法人銀行印、あるいは単に銀行印と呼ばれることもあります。

 金融機関関係で押印を求めされる際はこちらの印鑑を使用する必要があります。

 代表者印と同じものを届け出ることも可能ですが、紛失や盗難が発生した際のリスクを軽減するために別途、会社銀行印を作成することが多いです。

4.会社角印(会社印、角印)

 こちらの印鑑は、役所や銀行などの各機関へ届け出るものではなく、社内文書をはじめ領収書や請求書、郵便物の受け取りなど幅広い用途があります。いわゆる認印となり法的な効力はありませんが、普段使用する場面ではこちらの方が登場する機会が多いかもしれません。

 代表者印や銀行印とは異なり、四角形の印鑑で作成されることが多く、角印と呼ばれることが多いです。

5.商業登記における会社の印鑑

 商業登記のご依頼を受け、印鑑について注意している点は、押印いただいた印鑑が本当に代表者印か?という点です。

 法務局へ登録している印鑑で押印をしないと、登記の添付書類としては無効になってしまうものがあります。どの印鑑を法務局に届け出ているかは法人印鑑証明書を確認しなければなりません。

 会社実印として押印いただいていた場合でも、法務局に登記申請をして添付書類を提出した際に「押印されている印鑑が登録されているものと違います...」と指摘を受けるケースが過去にもありました。

 基本的には会社設立の際に登録をしたものから勝手に変わることはないですが、代表取締役が交代した場合や、紛失・破損した場合など会社の実印が登録し直されることがあります。そのため自社内でどの印鑑がどういったときに使用するものかをしっかり把握しておく必要もあります。

 

6.実際にあった事例

 実際に私が体験した事例としては先程の、押印いただいた印鑑が法人実印ではなかったという事例もありますが、最も多いのは印鑑の印影の不鮮明さによる書類の不備です。

 書類の印影が不鮮明・欠け・滲みなどがあると法務局で書類を受け付けてもらえない場合があります。

 そのため私も押印を頂く際には鮮明に押印をしていただくことを常に気を付けております。押印の鮮明さが非常に微妙なラインの時もありますがそれを受け付けてもらえるかは提出先の法務局や登記官次第なところもありますので必ず問題がない鮮明さで押印を頂くようにしています(時にはその場で何度も押し直していただいた経験もあります)。

 また、登録したときから印鑑自体の損傷で同じ印影だと判断できなくなってしまう場合もあります。その際には再度新しく印鑑登録を行う必要があるので、印鑑の紛失や損傷等の場合は再作成をしたうえで法務局への届け出をします。

 もちろん弊社にご依頼をいただければ、届出書を作成して一緒にお手続きをさせていただきます。

7.まとめ

 「会社印」といってもその届け出先や使用用途によって様々あります。商業登記においては非常に重要なものになりますので我々も注意をして日々書類を確認しております。

 長年同じものを使用し続けている場合、先の事例のような事もございますので1度ご確認されてみてはいかがでしょうか。

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